どうしてこうなった。映画「海猫」

「原作レイプ」という言葉は大嫌いですが。
それしか言いようがないよな、というアレな実写映画がまれに存在します。
私にとって、その筆頭映画が「海猫」(うみねこ)です。
原作ファンなので、とても楽しみにしていたのですが、観賞して言葉を失いました。
あの素晴らしい小説が、どうしてこうなった……と。
美味しい素材を水で五十倍に薄めて、調味料をやたらめったらブチ込んだ……そんな印象でした。
ヒロイン役の伊東美咲さん、夫役の佐藤浩市さん。
義弟役の中村トオルさんと、配役は文句無しなのに。

あらすじとしては、まだ戦後間もない時代。
ロシアの血を引く美女が漁師に嫁いだものの、やがて義弟と道ならぬ恋をする……という筋です。
でも、単純な不倫話ではありません。
混血の美女が抱える、美し過ぎるゆえの孤独。
そして愛情がありながらも、妻の繊細さが理解出来ない夫。
兄嫁を神聖視し、誰よりも理解しつつ支える、義弟の献身。
信仰を持ち教会に通う弟が、やがて長い辛抱の末に兄嫁の手をとってしまう……そういう、複雑微妙で繊細な心の動きが、バッサリ抜け落ちています。
これでは、陳腐な不倫劇そのもの。
皆の葛藤も心の動きも苦悩も、何も無い。
過激なラブシーンが話題になりましたが、それも中途半端で、かえって興ざめです。
聖女のように美しく気高いヒロイン・薫が、恋に溺れるギャップが良いのに……。
薫とそっくりなハズの弟は似ても似つかないし、気が良いハズの姑は、ただの嫌な老人だし。
夫が看護士の景子に出会い、美し過ぎる妻には無い安らぎを覚えるくだりも、ありません。
誰にも共感出来ず、カタルシスもなく、半端なまま終わる。
何より、薫の娘の恋人が別人過ぎる。
修介は、あんなクソ野郎じゃありません!!(号泣)

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